泉岳寺の素直な心
- oishikaori
- 2022年5月4日
- 読了時間: 2分

千葉に住んでいる鉄道ファンの甥っ子が秋谷に遊びに来ることになりました。鉄道ファンが三浦半島に来るとなれば選択肢は一択、「京急に乗りたい」ということになり、当然彼のお目当ては京急の2100系快特の展望席ということでありました。
運転席の後ろに4席しかないこの展望席は、最高速度120キロを体感できる憧れのプラチナシートなのだそうです。ここに座るには始発駅の泉岳寺で並ばなければなりません。ということで泉岳寺まで迎えに行きました。
逗子・葉山駅から泉岳寺まで来て、改札を出てまた入って下りホームに降りると、この特等席の乗り場だけ子供たちでいっぱいです。1、2、3……8人。競争率2倍の狭き門です。
そこで一本見逃して20分後の始発を待っていると、駅のスピーカーから親しみのあるメロディが流れてくるではありませんか。ブルグミュラーの『素直な心』です。
『素直な心』はブルグミュラーの『25の練習曲 作品100』のうちの1番目の曲で、バイエルを終えた生徒さんがチャレンジする曲です。25曲のどれもが優美で楽しく、発表会などでもよく演奏されています。
泉岳寺駅の素直な心はたった2小節だけしか流れないのが不満でしたが、全曲流すといつまでも発車できないので仕方なし。
そのあと乗った2100系電車の展望席はさながら鉄道ファンの「子供の集会」で、「帰途は果たしてどうなるのやら」という心配をよそに無邪気なおしゃべりは続き、つばめのように速く、貴婦人の乗馬のように軽やかに駆け抜け、舟唄のようなモーターの音とともに多摩川の清い流れを渡ると、並走する東海道線を狩りに行くのでした。



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